〈桜鬼のイベントブログ〉

第二十九回文学フリマ東京

先日はどうもありがとうございました&お疲れさまでした……!

わたし、桜鬼にとっては四回目の文フリ東京でしたが、この頃は回を重ねる毎に規模が大きくなっていて、それは喜ばしいことでもあるのですが、参加者の層について中々予想がつかなかったり、アピールの仕方に悩んだり、良くも悪くもみなさん色々と揉みくちゃになっている印象でした。
因みに今回、波の寄る辺のブースはこのような感じになっていました。

単純な話、シンプルに目立たせたくてこうなっています。

来てくださる方がどれだけ認識してくださっているかはわかりませんが、波の寄る辺は初参加のときから水色です。

これは、サークル名を見て来てくださった方にも見つけやすくする(波と水色で「もしかしたらここかな?」と思っていただけたら御の字)ためでもあります。

ところで、ブース設営の理想形としてよく聞くのは、「見た人が立ち止まってくれる」見た目ですね。

けれども、わたしとしては正直ブースの数がこれだけあると例えば「本の表紙もブースも何もかも真っ白」であるとか、「ぽ、ぽぽ、ぽぽぽ、ぽぽぽぽ、ぽぽぽぽぽ(ゲシュタルト崩壊してきた……)」とばかり書いてあるとか、「最早タワー状態」などなど、そこからイメージされる作風にもかなり激しく侵食してくるレベルで目立たないと難しいのではないかと思っています。

ですがだからといって設営でアピールしないのは勿体ない。

そこで目指そうと思ったのが、「気になってブースを探しにきた人が迷わない」ブース設営です。

加えて当然、拙作の雰囲気を伝える意味合いも含まれます。

実際にこの設営で一日いたところ、文フリに初めていらしたという方も、割とすんなり近づいてきてくださったかなという印象でした。

後は追加効果で、閉場間際の一時間くらい、わたしのブースは両隣の方が帰ってしまってガラガラだったのですけれど、片付けには一切手をつけずにいましたら、それこそ元からチェックしていたわけではなさそうな方が、ブースを見て結構立ち寄ってくださいました。

布の中身は割とがっつり組み立て式だったりします。
そんなわけで、朝の準備は本当に開場ぎりぎりで、主催の方の開場宣言とほぼ同時に設営写真を撮りました。

そうしてその写真をツイートしようとしていたらですね、Kさんがいらっしゃって……いや、本当に早かった……ツイートする暇もなかったので……あの、一般参加の方も外は並んでいたのではと思うのですが……兎に角まあ驚きました……

更に驚いた理由がもうひとつ、Kさんは波の寄る辺の割と強力なリピーターで、かつ実際にお会いするのは初めて、という方だったのですよね……それはもう震えました。

(ご本人だ……!?)と思った話を後日友人にしたところ、「ご本人はお前だろ……」と言われました。はい、書いているのはわたしです。
ですが手にとってくださった方のことは書く側も多分、手にとってくださる方が思う以上によく覚えているものですよ……

それで次に手に取らなかったらがっかりされるだろうか、という懸念みたいなものもよく言われたりしますけれど、わたし個人は「次がどうであれ一度手にとってくださったという事実は変わらないですし、そのことを思えば感謝こそすれ、その後音沙汰がないことを責める気持ちは起こらない」質なので、余計に幸せな幕開けでした。

その後も前回や他のイベントで来てくださった方々が立ち寄ってくださったり、初めましての方もそこそこいらして、更には思いがけない方々の来訪もあったりと、比較的成功した部類ではないかなと思います。

何より、わたし自身とても楽しかった。

売り子が十二時までしか居られなかったので常より忙しなくばたばたはしていましたが、記憶力を試されつつも色々な方とお話しすることができたので。

これ以上数が出るようになるとそれはそれで嬉しいけれどお話しするのは難しくなってくるのでしょうかね……

因みに、今回の頒布数詳細は以下になります。

新刊『Who are you?』17冊
アンソロジー『PortRay』12冊
短篇『天使の番』5冊
短篇集『移ろい』8冊
短篇『百日紅』4冊
掌篇『感受回路の首飾り』3冊
140字集『呟集 真珠』4冊

そして下の写真が戦利品です📚

まあ長々と自分語りをしましたが、何かしら参考になることがあったらいいなあと思います。

お読みくださりどうもありがとうございました✨

桜鬼

Doujin Full-Course 2018



同人フルコース2018……!
初回の2017から一年が経ちました。
またこうしておすすめをまとめる環境があることを嬉しく思います🍽

前置きは昨年書きましたので省略させていただきまして、早速メニューから。


【Menu】Doujin Full-Course 2018

前菜『名前のない、』森瀬ユウ
スープ『時の果てのファイア・ガーデン』だも
魚料理『あけびかづら』磯崎愛
肉料理『騎士の剣』宮田秩早
肉料理『雨街で残響』転枝
ワイン『すな子へ』泉由良
チーズ『踊る阿呆』オカワダアキナ
食後酒『微笑みと微睡み』泉由良
デザート『さよなら、おやすみ、またあした』
コーヒー『旅人よ立ち止まれ』風野湊
(敬称略)


前菜『名前のない、』森瀬ユウ


野菜のテリーヌ。
色合いは落ち着いていて、ソースは恐らくりんごや鶏ガラあたりを使っている。日本人好みの味わいだ。
具材にはつくしや菜の花、その息遣いが聞こえる。
朝から何も口にしていなかったその舌に優しく寄り添う短編集。


スープ『時の果てのファイア・ガーデン』だも


酸味の効いたミネストローネ風トマトスープ。
仕込みに時間がかかる分、数々の具材がしっかりとスープに馴染んでいる。
時折その酸味がふと胸をつき、塩味と混ざって味わいが深くなる。
二つの世界を行き来する連作短編。


魚料理『あけびかづら』磯崎愛


燻してあるな、ということはわかるけれども使われたチップが検討もつかない。
付け合わせに香の物と柚子胡椒の効いたディップらしきもの。すり潰したあけびの果肉だろうか。
焼き物のごとく深く香り立つ蛇腹本短編。


肉料理『騎士の剣』宮田秩早


抽象的な形に盛り付けられたローストビーフ。
そう!これよ、これ!と言いたくなる味わい。ソースはお好みで三種類全てを楽しめる。
薄切りながら、これでもかと浪漫の盛り込まれた短編。


肉料理『雨街で残響』転枝


まさかの肉料理二品目ですがこちらは打って変わって熊ステーキ。
一際目立つのがアクの強さ、パンチの強さで口に持っていき歯を立てた瞬間が勝負。
お腹が膨らむ前に食べきってしまう上、呆然とする後味です。


ワイン『すな子へ』泉由良


ヴィンテージの赤。
層によって味わいが変わるその一本の、最も強く酩酊を誘う層だけがグラスに注がれる。
目眩でも起こしてしまいそうな。
舌で味わい呑むのではなく、味覚の奥で呑む、呑まれる短編二本立て。


チーズ『踊る阿呆』オカワダアキナ


ブルー・デ・バスク、若い青カビチーズの味わいとモッツァレラの弾力。
このモッツァレラを絞ると青カビチーズとのバランスがとれなくなってしまうので、この水分はなくてはならないものなのだろう。


食後酒『微笑みと微睡み』泉由良


辛口のシェリー。
食後酒と聞いて思っていたよりは全然甘くないけれど甘い。
シェリーとはこういうものなのだなとグラスを空け立ち上がった途端によろめく。
油断は禁物です。


デザート『さよなら、おやすみ、また明日』


落ち着いた大人味のコーヒームース。
飾りつけに一枚菫の花弁がのっている。
エスプレッソ、モカ、ラテの層の他、スポンジに珈琲とブランデーを染み込ませた層が深みを増している。
寝る前に口にしたいアンソロジー。


珈琲『旅人よ立ち止まれ』風野湊


街角を思い起こすブレンド。
勿体ぶることなく湯気ごと広がった香りは最後まで途切れることもない。
店を出たあともコーヒーブレイクのたびにふっと思い出すことだろう。
微かに、しかし確かに残る旅の記録。



説明になっていませんね相変わらず。
味覚というものは本当人それぞれなものですけれど、文章も結局はそういう部分があると思うのですよね。
まあ年に一度のことですし、このおすすめスタイルに悔いはないです。
気になるものがありましたらぜひ読んでみてください……!
それでは……⚓️

桜鬼

第二十七回文学フリマ東京



こんばんは、桜鬼です🌙
週末は一般参加のみなさまも出店者のみなさまもお疲れさまでした……!

わたしは去年の初出店から漸く一年が経ちました。東京への出店もこれでまだ二回目なのですよね……とはいえあまぶんやHUBに出ておきながら初心者にありがちなミスを犯して初心者なので!とは言っていられないものだなと気持ちを新たにした一日でした。

というのも、ブース数990?という過去最多の規模での開催では、当然のように初出店の方がわんさか……!
コミケやコミティア経験者であればまた違いますけれど文フリは即売会初心者が大変多い。
これはある意味ではとても素敵なことだと思います。
けれども一方では一般参加すら経ずに突撃出店される方が多いこともまた事実のようでして。

とりあえず、ナワバリ意識はしっかりしましょう……!

いえ、冗談ではなく、
【(自分が)隣のブースに侵食しない、(お客さんを隣のブースに浸食)させない】
これは鉄則です。
わたしも今一度肝に命じました。

特にですね、大人数のサークルさんは内部でそのあたりを徹底してくださらないとこちらから店番交代のたびに注意する、仲間の方が様子見に来るたびに注意するというのは流石に厳しい。

公式さまによるご挨拶タイムの際お隣さんが初出店と仰られたので「ブースをはみ出さないことだけ気をつけてくだされば!」とお伝えしたところその場にいた方々は頑張ってくださっていたのですけれど、次に出店されるときまでにもう少しサークル全体で徹底しないと次に隣になるサークルさんによっては一寸厳しい場面があるかもしれないと思いました。
これはお隣さんが悪いと言いたいわけではなく、事前にこの鉄則がどれほど重要かということを知る手立てがなかったということもあるとは思うのですよね。
気のいい方々でしたし初出店の方々がああして楽しむことができる環境を潰さないというのは、長く出店しようと考えている身としてひとつ思うところではあります。
……と真面目な話をしてしまった……




今回の設営はこのような感じでした⚓️
この設営のポイントはですね、高さを出しながらも機材はコンパクトに持ち運べるということですかね。
裏側は中々突貫です。倒れなければいいのよ。




愛用しているのはこのポップを入れている硬質カードケースですね。
毎度ポップを変更しても印刷して中に入れるだけで済みますし、何よりポップが折れない、汚れない。
また、A7サイズのものは値札に利用しています。
値札に作品の説明を入れるのは前回も効果を感じた部分なのですけれど、今回は更に作品の立ち位置(おすすめ、お試しに、など)と種類(短篇集、掌篇、など)を明記したのがかなり効力を発揮していた印象でした。




つまり何がどれだけ出たかと言いますと……

新刊『天使の番』 16冊
おすすめ『移ろい』 9冊
準新刊『百日紅』 6冊
お試しに『感受回路の首飾り』 6冊
詩歌好きな方に『呟集 真珠』 2冊
裏メニュー 小品くじ 1種

1冊も出なかった本がなかったというのはこの方針のおかげが大きかったのかなと思います。




そしてブースを訪ねてくださった方の割合としては
出店されているフォロワーさん:フォロワーさん:完全に初めましての方=8:2:3
くらいでした。

わたしとしては喜ばしい比率ですね。
出店されているフォロワーさんの比率がもっと多くなるかと思っていたので。
出店されているフォロワーさんは先ず間違いなく会場にはいらっしゃいますけれど、それ以外の方は会場に訪ねてこられるところからですからね……!
そうなってくるともう作品に手を伸ばしてくださらなくとも挨拶ができるだけで嬉しいのですよねえ。
勿論出店されている方も同じ立場だからこそ忙しい中ブースに立ち寄ってくださるのがどのくらい大変かわかりますし、短い時間の中でわたしのブースを選んでくださったというのは本当に嬉しいです。




最後に話を全体に戻しまして文フリ東京についてなのですけれど、春に二回一般参加、秋に二回出店をして、今回特にいつもと違ったなと思ったことはやはり「積極的な一般参加者が多かった」ということでした。

わたしの新刊もそうなのですけれど、今回あちらこちらで完売の声が上がっておりまして、その理由のひとつに「通常の見積もりを上回るお客さんが来ていた」ということがあったのだと思います。

実際のところわたしのフォロワーさん(一般参加でいらしていた方々)もどうやら嬉々として積ん読を増やしにかかっていたようで。
今までは一般参加というと「少し雰囲気を楽しみにきて、もし余程気にいるものがあれば何か買うこともあるかな」くらいの心意気の方のイメージだったのですけれど、今回の一般参加の方々はもう勢いが違いましたね……何かしらは買う気で来ている様子でした。勿論実際は色々な楽しみ方をされている方がいらっしゃったのでしょうが、平均をとると先の印象で言い切っても構わないだろうと思います。

面白いなと思ったのは、ある方が仰っていた「プロじゃない人の作品が読みたくなったときに紙で出されているのが嬉しい」という台詞で、日頃からプロじゃない人の作品を読みたくなって読む環境にいる人たちというのはどういった人たちのことなのだろうと思ったのですよね。
それではたと、もしかすると、ウェブ上の投稿サイトは所謂インディーズバンドを追っかけるのと似た心理を養う場にもなっていて、元来紙の本が好きだけれども新たな作品を発掘したいと思うと投稿サイトしかないと考えていた人、にこのイベントを知ってもらえるとかなりまた層が厚くなるのではないかしらと思ったのでした。




何故だか結局少し真面目なお話をちょこちょこしてしまった気がするのですけれど、つまるところ総じて収穫の多い一日でした。
長々とここまで読んでくださった方、どうもありがとうございました。

次の2019/5/6の文フリ東京では横浜と神戸を舞台にした港町アンソロジー『PortRay』を引っさげて出店する予定ですのでお楽しみに⚓️

波の寄る辺  桜鬼

戦利品リスト
『質草食みて』砂金葉之
『walking postcard vol.1』風野湊
『新奇蹟 四・五』新奇蹟
『FLAT』オカワダアキナ
『煙の女』同上
『迎え火』狐伏澤つたゐ
『ジェミニとほうき星』高梨來
『Night and Day Day and night』同上
『やがて白になる』九十九九音
『詳しい予感』泉由良
『魔法の速度』蓮井遼
『187』ハスミケイ
『破壊』転枝
『制服の女』同上
『WUNDERKAMMER』同上
『つばめの巣 11号』つばめ綺譚社
『Stage 海』ポート
『Scene 罪の意識』同上
『影』茉莉ゆんゆ
『星待ちの海』同上
『生きは酔々』単色スペクトル
(以上敬称略)

2018/11/25

尼崎文学だらけ



尼崎文学だらけ、通称あまぶんさんに参加して来ました……!

前々回のお話をTLで眺めて楽しそうだなと思い、前回は通販だけ利用させていただいて矢張り楽しそうだなと指を咥え、この度漸く参加することが叶いました笑

毎度何かしら新しい試みがあるような印象で、今回は(いえ、参加するのは初めてですけれど)和室での開催だったのでした。


……和室?


行くまで余りイメージが湧いていなかったのも致し方のないことだと思います。(曲がりなりにも文章を書いているのに端から想像力の乏しさを晒してどうするのだろう……まあいいか)

和室ということしかわからなかったわたしは関東からの遠征だというのに着物を持参し、頒布物も全てキャリーケースに詰め込んで行きました!(当然疲れましたし腕が筋肉痛になりました)

少し遅れて行ったのですけれど、主催のにゃんしーさんが直ぐに気がついてくださって、どうぞどうぞと言われたのですけれど折角なのでパスポートも提示して奥へ。

すると(確か來さんが)桜鬼さん!と声をかけてくださって、他の皆さんも温かな挨拶で迎えてくださいました。

もうこの時点でぽかぽかと居心地のよい気がしていましたね。
(例えば文フリ東京は如何せんブースの数が多すぎて、他のサークルさんとの交流といっても来たときに両隣の方と形ばかりのご挨拶をし、始まってからフォロワーさんのブースに(行けたら)行って少しご挨拶をするくらいなので。拙作を買ってくださる方と交流ができるのはいいところなのですけれどね)

お会計はにゃんしーさんが全てのサークルさんのものを一括で請け負ってくださっていたので、設営さえ済めば後は自由に本を読んでもよし、お話をしてもよし、ポエトリーリーディングに聴き入ってもよし、つまりお客さんが来なくとも暇をしません!他の方のブースをゆったりと回ることができます!

設営が終わり、どうしようかなと思っていましたら自然と出店者さん同士でご挨拶タイムが始まりました(みなさん割とご挨拶できるチャンスを伺っていた様子で、この後も何度も似たような光景を目にしました)

これが所謂文学サロンというものなのでは……?(何方かも笑って仰っていましたけれど)

ゆっくり本が読める!というのが今回のあまぶんさんのウリだったわけなのですけれど、わたしは個人的に買った本をその場で読むよりはみなさんとお話ができたらと思い、読むことについては気になる本の試し読みに留め、お会計第一弾を済ませたところで「読書室」を覗きに行きました。

この「読書室」がもう殆ど楽屋といった雰囲気で、午前中はそれでも割合静かで本を読んでいる方も原稿を進めている方もいたのですが、午後は殆ど完全にサロンと化していましたね。
途中みなさんで名刺を交換していたときに実幻さんが、本に挟んであるけれどもしかしてそれよりもこっちでの方が必要だった!?と「物理的に抜いてきます!」宣言をして実際に自身のご本から抜いてきたらしい名刺を配りはじめたのが面白かったですね笑

お昼もその場にいた東堂さん、実幻さん、土佐岡さん、鹿紙路さんと一緒にパスタを食べに行き、わたしは話に夢中になりすぎてパスタが伸びました。(気がついたらみなさん食べ終わっていました、申し訳ない)中々できない経験だったと思います。
お店の方には「何の繋がりですか?」と不思議そうな顔をされました笑

一日の中で文章に関わる色々なお話を色々な方から聞いたのですけれど、たこやきさんが唐突に(?)拙作を褒めてくださるくだりがあり、それは周りのみなさんも聞いていたのであまりにハードルが上がり過ぎていることにテンパりました。ありがとうございました。本当恥ずかしいやら嬉しいやら恥ずかしいやらで笑
これもうダラダラと書きすぎてオチが見当たらないのですけれど、兎に角わたし的にはとても満足できるイベントでした。
少しでも雰囲気が伝わっていましたら幸いです(伝わるのか……?)

戦利品も沢山お迎えしてきました📚

シズムアンソロジー ComingSoon

「湛む」という言葉から、或いは「耽美」という言葉から、思い描くイメージとはどのようなものでしょうか。

今回参加させていただいたアンソロジーではこれらの言葉と、更には「船」「花」「廃温室」を共通のキーワードとして6名がそれぞれに掌篇を納めています。

主軸となるうさうららさん『湛む 其の一』によってふっと照明が切り替わるのを皮切りに、麻薬然とした甘さを漂わせる白河紫苑さん『禍福の淋漓』、無垢な視点がどこかひやりとさせられる紺堂カヤさん『咲いて枯れるもの、手折るもの』、SFの切り口で描かれ"含み"を多分に堪能することのできる磯崎愛さん『ブーガンヴィルとオルー』、海に咲く花が心地よい読後感を残していく瓜越古真さん『月夜の海にくらげ咲く』、混乱を誘う文体で微力ながら主軸を支える散文桜鬼『湛む 其のニ』、そうしてうさうららさん『湛む 終章』により幕が閉じる。

それぞれの掌篇の最後には登場した花の解説文と挿絵がついており、『湛む』各章にもふんだんに挿絵が盛り込まれています。

速読が得意な方にも、そうでない方にも、いつになくゆったりと、それこそ湛むように読んでいただけるアンソロジーなのではないかと思います。

主宰のうさうららさん、また共に作品を納める機会に恵まれましたみなさん、どうもありがとうございました……!
とても楽しかったです……✨

【頒布予定】
5/6 第二十六回文学フリマ東京 
ウェブカタログ(ホワイトのみ)
5/27 第四回文学フリマ金沢
(ホワイトのみ)
7/16 Text-Revolutions7
未定 zine展 in Beppu5