風の吹くままに


明けましておめでとうございます。桜鬼です。

突然ではありますが、2020年はイベントへの参加を一切見送ることに決めました。

書くことができなくなったわけではありません。
それはわたしにとって、辞めようとする方が難しいことです。
何か嫌な出来事があったわけでもありません。
むしろ暫く皆さんとお会いできないかもしれないと思うととても残念な気持ちです。

ただ、凪いだ海に浮かぶ小舟で海図を引いていたところ、不意にいい風が吹いたのでわたしの両手は帆を張ろうとして一度空っぽになったようです。
この腕が二本しかないのは自明ですが、それは人生でも同じことかなと思います。
二本の腕で沢山のものを抱え込んでいたいときもありますが、わたしは今帆を張ることを優先したいと思います。
風を掴むまで他のものに手を伸ばす余裕などないでしょう。
はじめに2020年と書きましたが、正直いつ戻ってくることができるかはあまりはっきりとしていません。
今のところ通販は開けたままでいると思います。
春の文フリで発行する予定だった新刊二冊の原稿も既に殆どできているので、いつか折を見て発行するかもしれません。
決まっていることは本当に、2020年はイベントに参加しない、それだけです。
それ以外は何もかもが未定です。

前向きな気持ちで旅にでます。
もし何処かでふらっと出会うことがあればそのときはまたどうぞよろしく。

桜鬼

彷徨に似た何か


また一年が過ぎました。
あっという間でびっくりするだけの暇もないような気持ちです。

(初めましての方へ。こんにちは。波の寄る辺というサークル名で同人活動をしている桜鬼といいます。
因みにブースは大体「短編・掌編」で取っている遅筆人間です)

さて、そんなこんなで2019年のふりかえりと、来年のことについて少し語ってみようかなあと思います。


先ずはこちら、トップページに掲載している活動記録ですね。

昨年書いた通り、港町アンソロジー『PortRay』を携え駆け抜けることになりました。
もう次はいいかなと思うくらいにはアンソロジーとして奇跡的な一冊になっています。
おかげさまで重版にも至りまして、春と秋の文フリ東京から関西でのイベント、書店委託まで概ね届けたいところへ届けに行けたのかなと思っています。
現在はまだ在庫が多少ありますが、残りはもう基本的には通販及び書店のみでの頒布に縮小したところです。
重版の予定もございませんので気になるかたはお早めに⚓️


写真は今年使っていたお品書きです。

別に個人誌として発行したのは『Who are you?』のみだったのですが、書き下ろしとして以下のアンソロジーに寄稿しました。
後半三作は年明けの文フリ京都で発行される予定ですのでよかったらお手にとってみてください。

・『霞季』(テキレボアンソロ)
・『終曲』(『コトバ小曲集』)
・『Aplysia』(文系理系アンソロジー『雪がとけたらなにになる?』)
・『ロシアンブルーの爪』(猫アンソロジー『手のひらに猫』)
・『それは火の種、噂の種』(長屋アンソロジー『ひとのうわさ』)

それから、2020年5月の文フリ東京で発行予定の新刊『磯の口止め』を書いていたりもしました。
1年間の執筆量としては原稿用紙換算で100枚そこらですかね。
はじめにも書いた通り遅筆なので例年ともそう変わりません。

因みにここに挙げた作品は文体診断ロゴーンに流し込んだところ、ほぼほぼ井上ひさしになりました。その割に、Twitterでアンケートをとってみたところ圧倒的に票が入ったのは純文学となっていまして、本当どうなっているのやら。

テーマとして扱う事柄は何というか「解決のしようもないけれど無視もできない、何処かで折り合いをつけなければならない」みたいなものが多いのかなあとは最近ぼんやり思い起こしてみたりしているところですが、それもまあ、例外が出てきたっておかしくはないので、うん、一貫性なんてなくていいやな。
これからも描こうと思ったことをただ書いていきます。

具体的な2020年の予定はというと、

5月 第三十回文学フリマ東京
短篇『磯の口止め』発行
詩集『波止鴎(仮題)』発行
7月 旅チケット
11月 第三十一回文学フリマ東京
短篇集『幾何学』発行

といった具合でしょうか。一寸リアルが忙しくなりそうなので同人活動は縮小します。

あとは、何でしょう……創作以外では踊ったり旅行したりとこれもまた変わらずやっていましたね。
縮小するとはいいながら、旅チケットでも新刊を出したいなあと考えるあたり本当堪え性のない感じです……

何ともしまりのない流れになってしまいましたがもう書くことがぱっと思いつきませんね。
それではみなさま良いお年を🎍

桜鬼

第二十九回文学フリマ東京

先日はどうもありがとうございました&お疲れさまでした……!

わたし、桜鬼にとっては四回目の文フリ東京でしたが、この頃は回を重ねる毎に規模が大きくなっていて、それは喜ばしいことでもあるのですが、参加者の層について中々予想がつかなかったり、アピールの仕方に悩んだり、良くも悪くもみなさん色々と揉みくちゃになっている印象でした。
因みに今回、波の寄る辺のブースはこのような感じになっていました。

単純な話、シンプルに目立たせたくてこうなっています。

来てくださる方がどれだけ認識してくださっているかはわかりませんが、波の寄る辺は初参加のときから水色です。

これは、サークル名を見て来てくださった方にも見つけやすくする(波と水色で「もしかしたらここかな?」と思っていただけたら御の字)ためでもあります。

ところで、ブース設営の理想形としてよく聞くのは、「見た人が立ち止まってくれる」見た目ですね。

けれども、わたしとしては正直ブースの数がこれだけあると例えば「本の表紙もブースも何もかも真っ白」であるとか、「ぽ、ぽぽ、ぽぽぽ、ぽぽぽぽ、ぽぽぽぽぽ(ゲシュタルト崩壊してきた……)」とばかり書いてあるとか、「最早タワー状態」などなど、そこからイメージされる作風にもかなり激しく侵食してくるレベルで目立たないと難しいのではないかと思っています。

ですがだからといって設営でアピールしないのは勿体ない。

そこで目指そうと思ったのが、「気になってブースを探しにきた人が迷わない」ブース設営です。

加えて当然、拙作の雰囲気を伝える意味合いも含まれます。

実際にこの設営で一日いたところ、文フリに初めていらしたという方も、割とすんなり近づいてきてくださったかなという印象でした。

後は追加効果で、閉場間際の一時間くらい、わたしのブースは両隣の方が帰ってしまってガラガラだったのですけれど、片付けには一切手をつけずにいましたら、それこそ元からチェックしていたわけではなさそうな方が、ブースを見て結構立ち寄ってくださいました。

布の中身は割とがっつり組み立て式だったりします。
そんなわけで、朝の準備は本当に開場ぎりぎりで、主催の方の開場宣言とほぼ同時に設営写真を撮りました。

そうしてその写真をツイートしようとしていたらですね、Kさんがいらっしゃって……いや、本当に早かった……ツイートする暇もなかったので……あの、一般参加の方も外は並んでいたのではと思うのですが……兎に角まあ驚きました……

更に驚いた理由がもうひとつ、Kさんは波の寄る辺の割と強力なリピーターで、かつ実際にお会いするのは初めて、という方だったのですよね……それはもう震えました。

(ご本人だ……!?)と思った話を後日友人にしたところ、「ご本人はお前だろ……」と言われました。はい、書いているのはわたしです。
ですが手にとってくださった方のことは書く側も多分、手にとってくださる方が思う以上によく覚えているものですよ……

それで次に手に取らなかったらがっかりされるだろうか、という懸念みたいなものもよく言われたりしますけれど、わたし個人は「次がどうであれ一度手にとってくださったという事実は変わらないですし、そのことを思えば感謝こそすれ、その後音沙汰がないことを責める気持ちは起こらない」質なので、余計に幸せな幕開けでした。

その後も前回や他のイベントで来てくださった方々が立ち寄ってくださったり、初めましての方もそこそこいらして、更には思いがけない方々の来訪もあったりと、比較的成功した部類ではないかなと思います。

何より、わたし自身とても楽しかった。

売り子が十二時までしか居られなかったので常より忙しなくばたばたはしていましたが、記憶力を試されつつも色々な方とお話しすることができたので。

これ以上数が出るようになるとそれはそれで嬉しいけれどお話しするのは難しくなってくるのでしょうかね……

因みに、今回の頒布数詳細は以下になります。

新刊『Who are you?』17冊
アンソロジー『PortRay』12冊
短篇『天使の番』5冊
短篇集『移ろい』8冊
短篇『百日紅』4冊
掌篇『感受回路の首飾り』3冊
140字集『呟集 真珠』4冊

そして下の写真が戦利品です📚

まあ長々と自分語りをしましたが、何かしら参考になることがあったらいいなあと思います。

お読みくださりどうもありがとうございました✨

桜鬼

Continue 2019


振り返り、おすすめ、と来ましたので漸く来年の抱負です🖋

先日バーテンに今年の一字はと尋ねられまして、それで考えてみたのですけれど、2018はわたしにとっては「瞬」だったなと。
創作においても、同人1年目のため殆どのことが初めての体験でして、そりゃあ目まぐるしくも感じますよね。

そうした中で色々な方とお話をする機会にも恵まれて、「成熟」について少し思うところができました。

というのも、同人をされている方々はそれぞれに安定した「作風(物議を醸しそうですが個性と言い換えてもいい)」を持っている方が多く、その「作風」に触れるたび遠い背中を眩しく眺める気持ちになりまして。

我が身を振り返りますと、いつになったらそこまで「成熟」することができることやらという状態なのですよね。

その上で2019年はどうしようかなと考えたとき、敢えて一度一気に方向転換したものを書くのもありなのかもしれないなと思いました。

というわけでひとつ「意識してエンタメ性のあるものを書く」というのをやってみたいなと思っています。

これは似たようなものを沢山書くうちに自身でそれが作風だと錯覚してしまうのを防ぎたいという狙いもあります。

また、これが書きあがった暁には長い付き合いの友人に装丁を依頼するという約束をしました。
彼女はプロということもあり、同人の話はしてもわたしから頼むということは本当思ってもみなかったのですけれど、装丁をしてみたいという呟きとともに「新しい描き方に挑戦してそれを定着させたい」ところなのだという話を聞いたら語彙もなく「ああ、いいなあ」と思ってしまい。
今まで彼女の描いてきた絵と、今までわたしが書いてきた話は本来雰囲気の合わないものなのですが、それを双方向からひとつの作品になるように挑戦するというのは一寸信頼と気概がないと難しいなと思うので。
プロらしい静かな向上心(彼女は向上心だとは意識すらしていないかもしれない)にあてられて、少しわくわくしています。



それから忘れてはいけない『PortRay』⚓️

これの運営をなんとかかんとかやっていくというのがふたつめの目標でしょうか。
2019年は兎に角このアンソロジーを推してまわる一年になるだろうと思いますしそうしたい。

このアンソロジーについてはリンク先であったり振り返りで色々と書いているのでここでは一寸割愛。



あとは一寸した気づきとして、自分の得意(というより何とか御すことのできる)字数が今は恐らく原稿用紙四枚ほどにあたるのだろうなということがあります。

#紙街03『酒花』
#紙街04『花の理』
#ペーパーウェル01『雪兎』

いずれも結構な短さの掌篇ですが自己評価的には割と高い部類に入ります。

原稿用紙十五枚あたりが今は一番作品のリズムを掴むことができず、三十枚を超えてくるとまた何とかかんとかという具合ですね。

百枚を越えるとまたわからなくなりますが。

まあそういうわけでみっつめの目標は「三十から百枚あたりの枚数に慣れる」ということにします。



トップページにはこんな具合に活動記録をあげていまして、それを増やしていくのも楽しみのひとつであったりするので今年もまだまだ同人は続けていこうと思うのでした(完)

締め方が下手でどうしましょう、な抱負回でした。ここまでお付き合いくださりどうもありがとうございます。
みなさま良いお年を……!

桜鬼

Doujin Full-Course 2018



同人フルコース2018……!
初回の2017から一年が経ちました。
またこうしておすすめをまとめる環境があることを嬉しく思います🍽

前置きは昨年書きましたので省略させていただきまして、早速メニューから。


【Menu】Doujin Full-Course 2018

前菜『名前のない、』森瀬ユウ
スープ『時の果てのファイア・ガーデン』だも
魚料理『あけびかづら』磯崎愛
肉料理『騎士の剣』宮田秩早
肉料理『雨街で残響』転枝
ワイン『すな子へ』泉由良
チーズ『踊る阿呆』オカワダアキナ
食後酒『微笑みと微睡み』泉由良
デザート『さよなら、おやすみ、またあした』
コーヒー『旅人よ立ち止まれ』風野湊
(敬称略)


前菜『名前のない、』森瀬ユウ


野菜のテリーヌ。
色合いは落ち着いていて、ソースは恐らくりんごや鶏ガラあたりを使っている。日本人好みの味わいだ。
具材にはつくしや菜の花、その息遣いが聞こえる。
朝から何も口にしていなかったその舌に優しく寄り添う短編集。


スープ『時の果てのファイア・ガーデン』だも


酸味の効いたミネストローネ風トマトスープ。
仕込みに時間がかかる分、数々の具材がしっかりとスープに馴染んでいる。
時折その酸味がふと胸をつき、塩味と混ざって味わいが深くなる。
二つの世界を行き来する連作短編。


魚料理『あけびかづら』磯崎愛


燻してあるな、ということはわかるけれども使われたチップが検討もつかない。
付け合わせに香の物と柚子胡椒の効いたディップらしきもの。すり潰したあけびの果肉だろうか。
焼き物のごとく深く香り立つ蛇腹本短編。


肉料理『騎士の剣』宮田秩早


抽象的な形に盛り付けられたローストビーフ。
そう!これよ、これ!と言いたくなる味わい。ソースはお好みで三種類全てを楽しめる。
薄切りながら、これでもかと浪漫の盛り込まれた短編。


肉料理『雨街で残響』転枝


まさかの肉料理二品目ですがこちらは打って変わって熊ステーキ。
一際目立つのがアクの強さ、パンチの強さで口に持っていき歯を立てた瞬間が勝負。
お腹が膨らむ前に食べきってしまう上、呆然とする後味です。


ワイン『すな子へ』泉由良


ヴィンテージの赤。
層によって味わいが変わるその一本の、最も強く酩酊を誘う層だけがグラスに注がれる。
目眩でも起こしてしまいそうな。
舌で味わい呑むのではなく、味覚の奥で呑む、呑まれる短編二本立て。


チーズ『踊る阿呆』オカワダアキナ


ブルー・デ・バスク、若い青カビチーズの味わいとモッツァレラの弾力。
このモッツァレラを絞ると青カビチーズとのバランスがとれなくなってしまうので、この水分はなくてはならないものなのだろう。


食後酒『微笑みと微睡み』泉由良


辛口のシェリー。
食後酒と聞いて思っていたよりは全然甘くないけれど甘い。
シェリーとはこういうものなのだなとグラスを空け立ち上がった途端によろめく。
油断は禁物です。


デザート『さよなら、おやすみ、また明日』


落ち着いた大人味のコーヒームース。
飾りつけに一枚菫の花弁がのっている。
エスプレッソ、モカ、ラテの層の他、スポンジに珈琲とブランデーを染み込ませた層が深みを増している。
寝る前に口にしたいアンソロジー。


珈琲『旅人よ立ち止まれ』風野湊


街角を思い起こすブレンド。
勿体ぶることなく湯気ごと広がった香りは最後まで途切れることもない。
店を出たあともコーヒーブレイクのたびにふっと思い出すことだろう。
微かに、しかし確かに残る旅の記録。



説明になっていませんね相変わらず。
味覚というものは本当人それぞれなものですけれど、文章も結局はそういう部分があると思うのですよね。
まあ年に一度のことですし、このおすすめスタイルに悔いはないです。
気になるものがありましたらぜひ読んでみてください……!
それでは……⚓️

桜鬼